2015年4月30日木曜日

4月の井筒俊彦読書会開催報告

4月の井筒俊彦読書会は、コスモスとアンチコスモス―東洋哲学のために』の中の「創造不断―東洋的時間意識の元型」を読みました。


 
以下、4月の読書会用に主催者が作成したメモです。
(自分用メモなので、誤字等ありますし文章になっていないところもあります。)
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「創造不断」イブヌ・ル・アラビーの論の鍵概念。              時間論以前に根源的直感がある「有」と「無」の間の不断の振幅、宇宙的生命のリズム。時間的←『コーラン』の念誦「海印三昧」              「一切一挙」。空間的無時間的。←「止観」


「新創造」の解釈              外的解釈:終末の日に起こる復活              イブヌ・ル・アラビーの内的解釈:現在の存在論的事態


イブヌ・ル・アラビーの「新創造」思想の先駆者としてハマダーニーA(理性の領域):存在の光に照らされてその都度そのものが特別な顔の向け方をし、              次の瞬間には無に帰して別の新しい関係がこれにとって代わるB(理性の向こう側の領域):すべてのものが神と「ともにある」という無時間的空間性。前後関係が無い。


アシュアリー学派神学に最初の表現を見出した時間元型は、イブヌ・ル・アラビーの思惟を通過し、モッラー・サドラーを経て現代に及ぶ。


ラヒージーが「本質的可能性」というスコラ哲学的概念を使って、「新創造」を解釈しようとした。


宇宙的人間の「心臓」の脈搏と神の自己顕現(絶対無分節者の自己分節)活動の脈搏が同化しきったとき、そこに生起する事態を「創造不断」と呼ぶ。「創造不断」観念の形成には観想主体の我が導入されなければならなかった。



神がいない世界の時々刻々として道元の「有時経歴」:時間が存在として存在が時間として現成する。灰が薪に戻ることは不可能。だけど灰が後、薪が先ではない。一瞬一瞬のつらなりに前後関係があるが、薪は刻一刻新しい薪であり、非連続的連続。冬が春になるとは言わないのと同じ。これは経験的事態。観想意識で形而下世界を見たら、創造不断で前後際断的瞬間の非連続的連続。


観想意識での時間の第二の見方。時々刻々は創造不断の表面的形式。内部構造を知るために時間を超えたところにいかなくては。存在が時間なので、無時間ではない。非時間。時間のゼロポイントと時間の完全展開。


中心点と周辺部との間に不断に繰り返される存在エネルギーの脈動には時間性がある。この時間性と無時間性を一に合わせるところに観想意識は非時間を見る。現成する一瞬一瞬はその度ごとに現在である。過去も未来も現在に融入することによってはじめて過去として未来として意味づけられる。


唯識の時間論:種子生現行、そして種子は刹那滅。種子a1からA1が浮かび、A1は刹那滅するときに残影をアラヤ識にとどめていく。それがa2を生み出し、それが表層意識にA2となって顕現する。だから時々刻々。華厳の時間論:挙体生起は無時間的だが相即相入は時間的。事事無礙は時時無礙。


道元の時間論は時間と存在が絶対不可分。一物一物の有時でありながらしかも同時に全存在世界の有時であることを、道元は「尽時」「尽有」という。有時に経歴の功徳あり。いはゆる、今日より明日に経歴す。今日より昨日に経歴す。今日より今日に経歴す。明日より明日に経歴す。時もし一任せば、間隙ありぬべし。時は飛去し過ぎていく面もときにはある。だが飛去しない面もある。三頭八臂は、きのうふの時なり。丈六八尺は、けふの時なり。しかあれども、その昨今の道理、ただこれ、山のなかに直入して、千峰万峰をみわたす時節なり。すぎぬるにあらず。三頭八臂も、すなはち、わが有時にて一経す。彼方にあるにたれども而今なり。丈六八尺も、すなはち、わが有事にて一経す。彼処にあるににたれども而今なり。吾有時(我=存在=時間)上山渡河の時が球殿朱楼の時を呑み込んでしまう境位、そこでは二つの時は一つの時である。だが、上山渡河の時が球殿朱楼の時を吐き出す境位では、二つの時は、あい前後する別々の二つの時。有時は、その内的構造において、常に、こういう二重性をもつ。そして有時をこのような二重性において実現させるもの、それが我なのである。

2015年4月3日金曜日

4月の井筒俊彦読書会

第二回目の井筒俊彦読書会を開催します。

日時:2015年04月29日(祝)
    13:00 ~ 15:00


場所:東京・雑司ヶ谷「がんばれ!子供村」 4F 研修室
    (池袋駅から徒歩10分、雑司ヶ谷駅・鬼子母神前駅から徒歩7分です。

参加費無料です。

今回は、『コスモスとアンチコスモス―東洋哲学のために』の中の「創造不断―東洋的時間意識の元型」を読みます。



事前にテキストを読んで来られた方がよろしいかと思いますが、そうでなくても構いません。
参加予定の方は、当日直接来ていただいてもよろしいのですが、事前にhakoniwath@gmail.comまで連絡いただけたらありがたいです。

主催者自身、特別な専門知識を有する身ではないので、どなたもお気軽にご参加ください。